オフィスに喫煙室を設置するときの考え方
- 25 1月, 2019
分煙化が叫ばれる現代、喫煙スペースを新たに設けようと考えている会社も多いのではないでしょうか。しかし単純に灰皿を設置した喫煙コーナーをつくるだけでは、時代のニーズに沿っているとはいえません。オフィスに喫煙スペースをつくる際に、知っておいたほうがいいポイントがいくつかあるので、ぜひおさえておきましょう。
オフィスに喫煙室を設置する必要性
近年は飲食店や公共スペースなど、あらゆる場所で分煙が進められています。厚生労働省も「職場における喫煙対策のためのガイドライン」を発表し、オフィスに適切な喫煙場所の設置を推奨しています。ただ現時点では法律による規制はなく、喫煙場所の設置も義務ではありません。
しかし、会社には従業員の健康を守る義務はあります。仮にタバコの煙によって従業員が健康を害した場合、会社はその責任を取らなくてはなりません。実際に、受動喫煙が原因で病気になった従業員に対し、会社側が700万円の損害賠償を支払った事例もあります。
喫煙室を設置するにあたっては、助成金が支給される制度を活用できます。それは厚生労働省管轄の「受動喫煙防止対策助成金制度」。一定の要件を満たす喫煙室を設置、または改修する際、必要な工事設備費等の2分の1が助成される制度です(上限は200万円)。
かつては飲食店や旅館業のみが対象でしたが、平成25年からすべての業種の中小企業が対象となりました(労働者の数や資本金の規模に制限があります)。会社にかかる負担は以前より減っていますので、一度検討してみるといいかもしれません。
喫煙室の適切な設置場所について
喫煙室設置による助成金をもらうためには、喫煙コーナーではなく喫煙室にする必要があります。喫煙室とは、「喫煙するための専用の部屋」のこと。厚生労働省のガイドラインでは、喫煙室に必要な機能として「煙やニオイが喫煙室外に漏れないこと」「喫煙室内も良好な空気環境を維持すること」が挙げられています。具体的な設備としては、以下の3つが必須です。
- 喫煙室を囲う床から天井までの間仕切り
- 煙を直接屋外へ排出するための装置
- 非喫煙スペースとの境界(出入口)に喫煙室内に向かう0.2m/sの空気の流れをつくる設計
以上を踏まえた上で、喫煙室は基本的にオフィス内に設置しなくてはなりません。オフィスの外につくると助成金の対象外になるので気を付けましょう。そのほか、排気装置を設置せずに空気清浄機や室内の空気を循環させる装置のみを設置している場合や、天井まで間仕切りが届いていない場合、そもそもオフィス内が全面禁煙の場合などは助成金の対象外となります。
喫煙室の設置に必要な工事や設備とは
助成金の要件を満たす喫煙室を設置するには、以下の工事や設備が必要です。
工事
間仕切りするための建築工事、排気装置を設置する配管・ダクト工事、電気工事など
設備
間仕切り・扉、空調・排気装置、照明器具、灰皿、スプリンクラーなど
設置のための費用に関しては、喫煙室の広さやダクトの長さなどで変動します。
喫煙スペースを新しくつくったのに、きちんと分煙されておらず煙が室内に……という事態になっては意味がありません。さらにせっかくなら助成金をもらい、会社の負担を減らしておきたいところです。オフィスに喫煙室を設置するときは、上記の内容について必ず確認しておきましょう。