テナントの入居時に確認しておくべきこと
- 11 5月, 2016
オフィスや店舗の移転などでテナント物件を退去する際、契約時の内容を正しく理解していなかったことが原因でトラブルになるケースは少なくありません。そういった事態を避けるためには、テナントの入居時に契約内容をしっかりと把握しておくことが大切です。そこで今回は、入居時に確認をしておくべきポイントについて詳しく解説していきます。
契約内容について
テナントに入居する際の「賃貸借契約」には、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。この2つの賃貸借契約には、「借り手側の保護」という面で大きな違いがありますので、希望のテナント物件が見つかった場合にはどちらの契約になるのかを必ず事前に確認しておくことが大切です。では、それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
普通借家契約
普通借家契約では、オーナー側は正当な理由がない限り契約の更新を拒否することができません。契約期間は2年のところが多く、期間が満了した場合でも借主が引き続き入居することを希望した場合には更新を行う必要があります。
定期借家契約
定期借家契約では、基本的に契約の更新はありません。従って、あらかじめ決められた契約期間が終了した時点で、貸主は退去する必要があります。オーナー側と借主とが合意していれば、契約を更新することは可能ですが、その際も賃料アップ等のリスクがあることは理解してきましょう。
また、いずれの契約も、借主側の都合で中途解約する場合には、予告期間や解約違約金などについても別途定められていることがほとんどですので、併せて確認しておくようにしましょう。
原状回復と修繕について
借りているテナントを退去する場合に、どのような状態で返すのかも必ず確認すべき項目のひとつです。スケルトン物件の場合はほとんどが、内装や設備を撤去した状態の「スケルトン戻し」が基本ですが、居抜き物件であっても退去時にはスケルトン戻しを条件としているところもあります。原状回復の条件と、どこまでを負担するかという範囲、どの範囲までの修繕が借主側の費用で行われるのかなど、不明な点は細かく確認しておくようにしましょう。
設備の不具合について
居抜き物件を借りる場合には、入居の時点で設備に不具合があるかどうかを確認しておくことも大切です。前の店舗で使っていた設備をそのまま引き継ぐわけですから、中には経年劣化によって故障などの不具合があるケースも珍しくありません。そういった場合の修理費はどちらが負担するのか、また入居してすぐに設備が故障した場合も同様にどちらの負担になるのかを明確にしておくことが大切です。
敷金が返還されるかどうか
敷金が返還されるかどうかは借り手側にとっては重要な項目ですので、こちらも契約時に必ず確認しておくようにしましょう。通常、賃料不払いを始めとする債務不履行がなければ、敷金から原状回復費を差し引いた額が返還されるのが一般的ですが、償却等に関して条件が定められていることもありますので、注意が必要です。
退去する際に双方が気持ちよく契約を終えるためにも、入居時には上記の内容を必ず確認するようにしましょう。