オフィスの原状回復にかかる費用の目安
- 11 5月, 2016
借りていたオフィスの床や壁、天井などを借りる前の状態に戻す原状回復工事は、原則全て借主の負担になります。通常は貸主側が指定する業者が工事を行いますが、思っていたよりも高い工事費を請求されてしまうケースも珍しくありません。原状回復にかかる費用の目安をあらかじめ把握して、資金計画を立てておくことが大切です。
原状回復義務とは
「原状回復義務」というのは、借りた物件を退去する場合に、その物件を「入居時の状態」に戻して賃貸人(大家や管理会社など)に返却する義務のことです。
ただし、同じ原状回復義務でも、賃貸アパートやマンションなどのような一般的な居住物件と、事務所や店舗などのテナント物件とでは、その範囲が大きく異なります。
例えば、居住物件の場合は、数年に渡って入居するのが一般的ですので、経年による劣化や傷がついてしまうことは避けられません。そのため、居住物件の原状回復は「借主の故意や過失、またはルール違反が原因で生じた傷や損耗部分のみ」が対象となっています。これは、「事業者」である居住物件のオーナーと「消費者」である借主との力関係が対等ではないという観点から、「消費者契約法」が適用されているからです。
一方、テナント物件の場合はどうかというと、貸主側とテナントの借主はいずれも「営利を目的とする事業者」と見なされているため、消費者契約法は適用されません。そのため、賃貸住宅では原状回復義務が免除されるような部分だったとしても、テナントビルの場合は義務が生じるというケースも少なくないのです。
オフィスの原状回復にかかる費用の目安
オフィスの原状回復にかかる費用がどのくらいなのかは、退去する側としてはしっかりと把握しておきたい部分です。実際のところ、原状回復費は契約の内容(スケルトンか居抜きかなど)や、立地条件、工事できる時間帯などによっても異なりますから、一概には言えません。ただ、おおよその目安としては、「坪単価(2〜2.5万円)×オフィスの面積+その他諸経費」が一般的となっています。
原状回復をするときの注意点
原状回復工事というのは、貸主側が主導権を持って進んで行くことが一般的で、工事業者の指定や原状回復の範囲について、契約時に取り決めがされている可能性があります。
例えば、普通に使用していても経年が理由で生じてしまう壁紙の日焼けや照明機器の劣化といった「通常損耗」部分を原状回復の範囲に含むかどうかは、通常は入居時の契約にしっかりと明記されているはずですが、明文化されていないことで、貸主側と借主で解釈にズレが生じてしまうことも少なくありません。
こうしたトラブルを防ぐためにも、また、予想以上の原状回復費を請求されないためにも、どこまでが義務の範囲なのかを契約時に、しっかりと貸主側と確認し合っておくことが大切です。
オフィスの移転にはさまざまな費用が必要になります。その中でも特に大きなコストを占める原状回復については、必ず事前におおよその相場を把握しておくようにしましょう。